飴色蝶 *Ⅱ*
「そう、結局
 極道になったのね
 
 妹さんはその後
 容態はどうなの?」

何も言わずに首を左右に振る
庵の姿に、麻子は彼女が
亡くなった事を感じ取った。
 
お酒を飲み、会話を進めていく
内に、庵と透馬は案外
気が合う事を知る。

人懐っこく笑う透馬は
どことなく感じが
亡くなったシバに似ていた。

庵は気になっていた事を
透馬に問う。
 
「ひとつだけ聞きたい事がある
 どうして、あの時
 俺を殺さなかった
 殺そうと思えば殺せたはずだ
 意図的に、掠り傷だけで
 済ませたようにしか
 思えない」

「あの時・・・
 ああ、あの事件には
 俺は、一切関与していない
 こんな事を言っても、貴方に
 信じてもらえるとは思っては
 いない、でも本当に俺の
 知らないところで何者かに
 よって、うちの組員が
 動かされたのは事実だ
 
 うちが動いた以上
 俺に弁解の余地は無い」
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