飴色蝶 *Ⅱ*
「トウマの他にも幹部が数名
 刑期を終えて、近々帰って
 来る
 
 先代、これでやっと組にも
 活気が戻って来ますね」

「ああ、そうだな
 後は、奴を待つだけだ・・」
 
玄関の扉が、開く音がした。

「あなた、何も羽織らないで
 外に出ないでとお願いして
 いるのに・・・
 また、風邪を引きますよ」

「チナツ、もう、中へ入る
 ところだよ
 
 さあ、皆、今日は出所祝いだ
 盛大にやろう」

正二の上着を持って現われた
千夏と言う名の女性は

そう、朱莉さんだ。

「おじいちゃん」

浬と手を繋ぐ正二と、肩を
並べる朱莉。

三人の後ろ姿を見つめる菫は
晴れ渡る空を見上げた。

イオリ・・・

貴方がいない間に、ここでは
いろんな事が起きたのよ。
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