飴色蝶 *Ⅱ*
「俺は初めて、お前の写真を
 見た時、驚きを隠せなかった
 兄貴にそっくりなお前を見て
 俺はサオリの事を疑いもした
 
 でも、これで分かった・・・
 お前は兄貴に似ていたんじゃ
 ない、カヤコに似ているんだ
 カヤコに・・・」

正二の瞳から、涙が零れ落ちた

庵は、何が何なのか

・・・分からない。

ただ、目の前で涙する男性が

自分の父親だという事だけは
分かる。

「お前には、話していなかった
 が、カヤコと言う名の妹が
 俺達にはいた
 何故、話さなかったのか
 それは・・・
 極道という場所に身を置いて
 いながら恥ずかしい話だが
 ・・・・・・
 彼女の死を受け入れる事が
 彼女の事を話す事が、俺も
 兄貴も辛かったから
 心の片隅に閉まっておいた」

どうして
彼女は、死んだのだろう・・・

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