飴色蝶 *Ⅱ*
「カヤコは、確かに兄貴を
 愛していた、だけどその愛
 は実る事は無かった
 
 実の兄に恋する事など
 あってはならない
 だから、兄貴は可愛い妹で
 あるカヤコを拒絶し、彼女
 は家を出て行った
 
 俺は、そんな報われない愛
 に胸を焦がす血の繋がらない
 妹、カヤコの事を幼い頃から
 ずっと愛していた」
 
庵は、ある言葉が引っかかり
正二に問いかけた。

「血が繋がらない妹・・・」

「そうだ、俺は兄貴の母方の
 遠い親戚の子供で幼い頃に
 親に捨てられ、高月家に
 預けられていた
 
 兄貴は、俺を本当の弟の
 ように可愛がってくれた
 義父、義母も俺の事を
 我が子と同じように
 気にかけてくれて、ぜひ
 養子にと家族の一員にして
 くれた
 
 俺は心から、家族に感謝し
 そして、何をやっても完璧
 な兄貴に憧れ、可愛いい妹
 カヤコに恋をした」
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