飴色蝶 *Ⅱ*
正二は、一夜と喧嘩をして
家出をしたまま戻っては
来ない花夜子の事が心配で
時間を作っては、彼女の働く
お店へ顔を出して、彼女の事
を見つめ続けていた。

花夜子が、男と同棲をしている
事実を知っても、どんなに
疲れていても、彼女に逢う為に
正二は、とにかく時間を作った
 
何かに囚われて、気分が
落ち込んでいる花夜子を
映画や食事へ連れて行って
あげた事もあった。

ひとつの、家という空間の中
だけで、毎日、一夜の事だけを
想い愛し続けていた花夜子に
とって、外へ出て正二に教えて
もらう世界は楽しい事ばかりで

いつからか彼女は、一夜を思う
気持ちよりも正二に逢いたいと
思う気持ちの方が勝っている事
に気がつくのだった。

ずっと、私だけを見つめ続けて
いてくれる。
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