飴色蝶 *Ⅱ*
幻を抱く

逢えない人

傷ついた羽を癒せる場所を

見つけて、ほっと安心して

いる私が、私の中にいる。

『俺は忘れない』

私は、わたしに言う。

「ちがう・・・」
 
彼は庵じゃない

庵じゃないよ。

私が求めて止まないのは
あの人の温もりだけ

こんなにも温かい、温もりは

・・・いらない。

冷たい、庵の手に触れたい。

新から、逃れようとする菫
だったが、力いっぱいに
抱きしめられて、動く事が
できない。

私は、戸惑う。

「放してください」

新は、左右に首を振り
そして告げる。 

「同情じゃない
 前に、おまえに言ったろ?」

『俺の女になれよ』

私は、その言葉を思い出した。

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