飴色蝶 *Ⅱ*
「ねぇ、どうして?」

菫の唇に、指先で触れる庵。

「黙って」

庵は、菫の唇に優しく

唇を合わせた。

離れる唇・・・

「ずっと、私とカイリの
 傍に居てね」

「ああ、俺が、お前達を守る
 すみれ、今までありがとう
 
 もう、一人で
 頑張らなくていい」

庵の言葉に

庵の抱きしめる逞しい腕の力に

菫の体から、どんどん

力が抜けて行く。

もう、無理はしなくてもいい 

庵は見つめる

・・・浬の姿を。

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