飴色蝶 *Ⅱ*
戸惑う浬の背中に手を当てて
雪乃は耳元で呟く。

「カイリ、今度はあなたの番よ
 お父さんに甘えておいで」

「カイリ、おいで」

雪乃に背中を押された浬は
庵の元へ駆け寄る。

庵の腕の中・・・

初めて触れる、父親の存在。

浬の瞳に、涙が溢れた。

庵もまた、初めて触れる
我が子を戸惑う腕で必死に
抱き寄せて、息子の温もり
を感じる。

愛しいという想いが溢れ出し

心を熱く震わせる。

庵は、浬の頭を撫でながら
さっと目頭を押さえた。

「カイリ、ママを守ってくれて
 ありがとう」

「パパ、おかえりなさい」

「ただいま」

俺には、帰るべき場所がある。

守るべき人がいる。

二人の為だけに、俺は生きる

ここに誓う。
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