飴色蝶 *Ⅱ*

刺すような瞳

帰り際、迎えに来た車に乗車
する庵に透馬は深く頭を下げた

「今日は
 急な誘いにも関わらず
 お付き合い頂きまして
 ありがとうございました」

開けられたままのドア横に
透馬は立つ。
 
座席に掛けた庵は、彼に
話し聞かせた。

「俺の気持ちは、もう
 決まっている、明日
 幹部に伊納組と復縁する意向
 を告げるつもりだ
 
 皆を納得させるにはしばらく
 時間がかかるかもしれない
 だが、必ず分かってもらい
 伊納組に復縁状を送る
 
 これからは、高月組の力に
 なってくれ
 お前なら信用できる、頼む」

「任せてください」

深々と頭を下げる透馬、ドアは
閉まり、車は走り出す。

目を閉じる庵に、要は言う。

「スミレさんに、電話しては
 いかがですか?
 彼女もきっと、喜ばれるかと
 ・・・・・・」

「いいんだ、俺と一緒に居ても
 アイツは、幸せにはなれない
 すみれの泣き顔は、もう
 見たくない」
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