飴色蝶 *Ⅱ*
使った食器を洗う為にキッチン
の流し台の前に立つ菫に

そっと、近づき後ろから
抱きしめる庵。

「イオリ?びっくりした
 カイリは、起きなかった?」

「ああ、可愛い顔して
 眠ってるよ
 朝まで起きそうにない」

「あの子ったら、お風呂にも
 入らないで・・・」

菫は微笑みながら、蛇口を捻り
流れる水に食器の汚れが浮かび
上がる様子を見つめていた。

袖を捲り上げた菫の、細い腕に
触れる庵の手。

その手は肘から手首へと伝い
蛇口の水を止めた。

首筋に、触れる庵の唇。

「イオリ?」

振り返る菫の唇に口づけながら
庵は菫の腰元で結ばれた紐を
解く、するとエプロンがするり
と床に落ちた。
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