飴色蝶 *Ⅱ*
新は、ポツリと呟いた。

「イオリ
 俺は、どうすればいい?
 俺じゃ、アイツを救えない
 いつか本当に、トモエに・・
 死が訪れるかもしれない
 ・・・・・・
 済まない、お前に弱音なんか
 吐いて、俺の為にお前は
 ・・・・・・」

「もう、何も言うな
 全ては、俺が決めた道
 お前は、何も気にすることは
 無い、アイツを救えるのは
 お前でも、俺でもない
 トモエ、アイツ自身だ
 アラタ、お前はただ
 アイツの傍に
 居てやればいい」

「それが、俺の償い」

自動販売機の前で、煙草を
吸い出す庵。

「アラタ、カナメから手打ち盃
 の件は聞いた
 高月組と、手打ちになるなど
 会澤組の連中は簡単には承知
 しなかっただろう
 組内に抗争が起きたそうだが
 済まなかったな」

「確かに内部抗争は起きたが
 親父の頃から、もう既に
 内部は崩壊していた
 盃だけが原因ではない」
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