飴色蝶 *Ⅱ*
「俺のやり方が気に食わない奴
 には組を去ってもらった・・
 
 それよりも、お前が娑婆に
 出て来ている事を、この筋の
 もんなら、皆が知っている
 会澤組の組員には、堅気に
 なったお前に手を出すなと
 話しているが、先代を慕って
 いた奴も多い、用心してくれ
 
 お前が死ねば、俺はスミレに
 一生、顔向けできない
 ・・・・・・
 子供、男の子らしいな
 名前は何て言う?」

「かいり」

「いい名前だな
 お前が付けたのか?」

「ああ」

携帯灰皿に煙草を捨てる庵に
新は問う。

「スミレは
 ・・・どうしてる?」

「元気にしてる
 相変わらず、いい女だよ」

庵の惚気に、新は言う。

「お前には、勿体無い」

「言ってろよ
 お前には、渡さない」

笑い合う二人の傍に、ゲームを
買い終えた巴が戻って来た。
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