飴色蝶 *Ⅱ*
「はい、これ」

「ありがとう、助かったよ
 それで幾らした?」

ポケットから財布を取り出そう
とした、庵の手の上にすばやく
手を置く新。

「金ならいい、取っとけよ」

「でも・・・いいのか?」

庵の問いかけに、巴は頷いた。

「ありがとう
 餞別に貰って行くわ」

「餞別って・・・
 イオリ、何処かに行くの?」

やっと、庵に会う事ができた
のに

また、どこかへ行ってしまう。

不安な表情を浮かべる巴の顔を
真っ直ぐに見つめて、庵は言う

「トモエ、俺が犯した罪は紛れ
 も無い真実
 その事で、お前が悲しみ
 苦しむ姿を、俺は見たくない
 だからと言って、お前の傍に
 居てやる訳にはいかない
 俺には、守らなくてはいけな
 い人がいる、家族がいる」
 
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