飴色蝶 *Ⅱ*

ドアから、顔だけを出して覗く
菫に、気がついた幹生は
声をかけた。

「あっ、スミレちゃん
　おはよう」

振り返る、庵。

「ミキオさん、おはよう
　今日は
　宜しくお願いします」

「任せてよ、スミレちゃん
　それじゃ、後でね
　
　そうだ、ユキの奴、昨夜
　帰りが遅くて、まだ
　寝てるんだ
　もう少ししたら
　起こしてやってよ」

「はい、いってらっしゃい」

「いってきます」

庵は、手だけを振る。

二人は、庵が以前に住んでいた
部屋を片付ける為に、出掛けて
行った。

他にも、更紗の夫、晴樹
（ハルキ）も手伝いに来て
くれる事になったので
こんな機会は、菫達が
引っ越してしまったら、もう
作る事はできなくなると
庵の部屋の片づけが終わり次第
皆で夕食へ出掛ける事になった