飴色蝶 *Ⅱ*
女三人で集まる計画は、結局
立てれず仕舞い、菫は、今夜
のお食事会を心から楽しみに
していた。

小さな仏壇に庵の家族の遺影
納骨できずに、手元に置いた
ままの三柱の遺骨。

菫は、お線香をあげた後
手を合わせた。
 
朝の用事を一つずつ済ませ
ながら、菫は、小声で
歌を口ずさむ。

「今日のママ、ごきげんだね」

菫は浬に、とっておきの笑顔を
みせた。

窓の外、一面に広がる風景。

締め切った部屋、窓を開けると
清々しい風が、部屋中を
吹き抜ける。

「それにしても、すごい部屋
 ですね?
 ミキちゃん
 景色が一望できるよ」

「本当、すごいね
 こんな広い部屋に一人きりで
 イオリ、寂しくなかったの?
 俺なら半泣きだね」

「ううん、ミキちゃんなら
 声出して泣いてる」
 
笑い合う、幹生と晴樹。
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