飴色蝶 *Ⅱ*
そんな二人に、庵は言う。

「毎晩、空しかったよ
 そんな気分を紛らわせる為
 に浴びるほど、酒を飲んで
 この窓の外に広がる
 賑やかな町並みを見ては
 その輝きの中に、この身を
 投げたくなった
 ・・・・・・
 何て、嘘、俺が言ったら
 冗談にならないか」

窓の外を見つめる庵に
幹生は言う。

「お前は、もう一人じゃない
 ほらっ、片付けようぜ」

「ああ」

時間を忘れて、片付けに
没頭している三人。

すると、作業をする手を
止めさせるかのように

ドアホーンの音が部屋中に
鳴り響いた。

「イオリ、俺達の他に
 誰か呼んだの?」
 
「いや・・・」

何度も鳴る呼び出し音

ドアを叩く音。
< 350 / 410 >

この作品をシェア

pagetop