飴色蝶 *Ⅱ*
胸騒ぎを感じた庵は、音を
立てずにゆっくりとドアへ
近づき、覗き穴を見ようとした
その時
ドアの外から声が聞こえた。

「親父、三代目
 いないみたいっすよ」

「先代の話だと、今日のはず
 なんだが・・・
 仕方がない、出直すか」

すると、開錠する音がした後に
部屋のドアが開いた。

「三代目、やっぱり
 今日でしたか?
 お元気そうで・・・」
 
要は、庵の姿を見て
深々と頭を下げた。

その隣で、同じように
若衆も頭を下げる。

「カナメ、堅気の奴相手に
 頭なんか下げるな
 お前も元気そうで何よりだ
 ところで今日はどうした?」

「これを届けにだけ
 寄らせて頂きました」

若衆は、両手にいっぱいの
袋を持っていた。

その中には、弁当屋で購入
して来た、たくさんの弁当と
お茶のペットボトルが
何本も入っていた。
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