飴色蝶 *Ⅱ*
腕時計は、とっくに正午を
過ぎていた。

「もう、こんな時間なのか・・
 片付けに夢中になって
 すっかり飯の事なんて
 忘れていた
 そう言えば、腹減ったよ
 ありがとう」

「お役に立てて良かったです
 本来なら、組の者が手伝えば
 サッサと片付く事なのですが
 
 堅気になり、仮釈放中の貴方
 の周りに、柄の悪い俺達が
 彷徨く訳には行かず

 出所の際にもお迎えにも
 伺う事ができずに申し訳なく
 思っています」

「カナメ、俺は組を離脱した
 人間だ、もう、俺に気を使う
 ことは無い
 これからも、ずっと・・・」

「やっぱり、もう組には・・」

庵は頷き、若衆の持つ袋を
指差した。

「でっ、そんなに誰が食べる?
 三人じゃ食べ切れない
 お前らも一緒に食べていけよ
 ほら、入って」
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