飴色蝶 *Ⅱ*

貴方を捨てる

想いは通じ合い

何度、結ばれても

同じ姓を名乗ってみても

愛し合っていても
 
私の心は、ずっと虚しい

・・・だけ。

あの日

あの時

この場所で

『すみれ、遣らせて』

貴方に、触れなければ

良かったのかもしれない。

ずっと、片思いでいれば

良かったのかもしれない。

そう、あの日の私も

今と同じ気持ちだった。

後悔の思いを抱えて

この場所を後にした。

菫に歩みより、戸惑う手を
延ばし、彼女の頬に触れよう
とした庵の手。

「もう、限界・・・
 貴方が行くと言うのなら
 私は、貴方と別れる
 二度と会わない」
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