飴色蝶 *Ⅱ*
その場に立ち尽くす庵の
握り締めた拳。
菫は荷物を持たない方の手で
そっと触れた。
庵は、菫をその腕に抱く。
「イオリ、ごめん
ごめんね・・・」
貴方の心の中に、渦巻く葛藤が
私には見える。
だけど、貴方を
行かせてあげること
私にはできない。
「俺は、どこにも行かない」
庵の腕の中で、私は頷いた。
テーブルの上に、手付かずの
ままで置かれたお弁当。
黙々と片づけを済ませる庵達。
それは、今朝と同じ・・・
しかし、明らかに、さっきまで
とは違う空気が漂う。
部屋の中にいた幹生達には
何があったのか分からないが
今の庵には近づいては
いけないような気がした。
握り締めた拳。
菫は荷物を持たない方の手で
そっと触れた。
庵は、菫をその腕に抱く。
「イオリ、ごめん
ごめんね・・・」
貴方の心の中に、渦巻く葛藤が
私には見える。
だけど、貴方を
行かせてあげること
私にはできない。
「俺は、どこにも行かない」
庵の腕の中で、私は頷いた。
テーブルの上に、手付かずの
ままで置かれたお弁当。
黙々と片づけを済ませる庵達。
それは、今朝と同じ・・・
しかし、明らかに、さっきまで
とは違う空気が漂う。
部屋の中にいた幹生達には
何があったのか分からないが
今の庵には近づいては
いけないような気がした。