飴色蝶 *Ⅱ*
貴方を止めることが

できなかった私は

可哀想な女なんかじゃない
 
私が、貴方を捨てる。

この胸が、嘆き悲しんでも・・
 
遣り切れない想いで

庵はドアに、手をかけた。

泣いて縋っても来ない

菫の決意が、庵には分かった。

自分には

もう帰る場所は無いという事も

彼には、分かっていた

重い扉を押し開けて

庵は部屋を出て行く。

何も変わらない・・・

何も・・・

こんな事ならば

あなたに触れなければ良かった
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