飴色蝶 *Ⅱ*
『俺の残りの人生、その全てを
 すみれ、お前とカイリに
 捧げる』
 
嘘つきな貴方・・・

『どんなに不幸になっても
 貴方の傍にいたい』

嘘つきな私・・・

深い闇は、貴方を連れ去り

もう、どこにも、愛しい人
の姿は無い。

私は、また・・・ひとり。

でも、以前と違う事がひとつ。

それは・・・

私の頬を流れない涙。

一滴も出ない、涙。

私の心は貴方がいなくなる事に

馴れっこになってしまったの
だろう。

朝の光が、カーテンの隙間から
洩れる。

一睡もできなくて、重い目蓋。

眩し過ぎる朝日。

菫は、太陽が雲に隠れるように
布団の中に、顔を隠した。
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