飴色蝶 *Ⅱ*
「まだ、こんな時間か・・・」

浬はもう、学校へ行った
だろうか。

時間を確認した庵はポケットに
携帯電話をしまおうとした
その時、着信音が鳴る。

それは、菫からだった。

緊張した手で、携帯電話を
耳にあてる。
 
低い声は囁くように・・・

「すみれ・・・どうした?」

もう、変わらなくてもいいよ。

貴方は、あなたのままでいい。

どんな貴方でも

あなたが好きだから。

「イオリ、お願いがあるの?
 最後にひとつだけ
 聞いてくれる」

最後にひとつだけ・・・

「ああ、何でも聞いてやる」

「お願い、イオリ
 
 ・・・待ってるから
 
 だから、私の元に
 
 帰って来て」
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