飴色蝶 *Ⅱ*
彼女は、車のサイドガラスに
手をあてた。

「カナメ、出せ」

「えっ、でも・・・」

「いいから、出せ」

車は動き出し、庵を求めて
伸ばした手は届かない。
 
巴は、その場にしゃがみ込む

庵が、会澤組、組長の縁組の
申し出を断った事で

会澤組長の、逆鱗に触れて
しまった事実を知らせる為に
巴は、どうしても庵に
逢いたいと正二に連絡をした

そして本日、場が設けられ
怪しまれない様に二人だけで
密会をした。

巴は、父親である会澤が
庵に縁組を断わられただけで
はなく、伊納組と復縁まで
成されてしまい、若造に
してやられた事実に腹を立て
怒っている様を知らせた。
 
激しい剣幕を見せる父親の姿

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