飴色蝶 *Ⅱ*
「あんなに怒る父を見たのは
 生まれて初めてよ
 このままだと、貴方の命が
 危ない
 
 お願いだから、もう一度
 会澤組との縁組の件を
 考え直して
 結婚は私がしたくないと
 言えばそれで無かった事に
 なる、私も、父の怒りが
 静まるように精一杯の事を
 するわ、だから・・・」

庵は、話の途中で席を立つ。

「悪いが、俺の気持ちは
 変わらない
 お前と一緒になるのがどうと
 か、そういう問題じゃない
 
 悪いが、君の親父さんを
 俺は信用できない
 ただ、それだけ・・・」

巴も席を立ち、一瞬、顔を横に
向けた庵の胸に抱きついた。

「どうした?」

そして、腕を肩に回し、驚く
庵の唇に、巴の唇が触れた。

「やめろよ」

肩の後ろで組まれた彼女の腕を
庵は外し、前へと強く押し出し
て距離を保つ。
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