飴色蝶 *Ⅱ*
近くにいたスタッフに
朱莉は言う。

「カナメさんに、何か冷たい
 飲み物をお願い
 
 それで何があったの
 イオリ?」

煙草を銜え、グラスを
手に持つ庵。

「何も無いさ」

「ショウさんが、話していた
 けれど会澤組の縁組の申し出
 を断わったそうじゃない
 そんな事をして、あなた
 大丈夫なの?

 わたし・・・ショウさん
 心配していたわよ」

「大丈夫だ、心配はいらない」

何も、話さない庵

沈黙が支配する。

その時、店の外を見張っていた
護衛の一人が、要の傍へ近寄り
耳元で何かを話した。
  
「親父、ちょっとすみません
 組員とチンピラの間で諍いが
 あったようです
 すぐに戻ります」
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