飴色蝶 *Ⅱ*
「ああ」
 
要は席を立ち、急いで
店の外へと出て行った。

庵は何も話さず、酒を
飲み続ける。
 
朱莉は、その横顔を隣で
見つめながら、庵の事が
心配で心配で堪らない。

彼女は、もう一度だけ
庵に聞いた。

「本当に、大丈夫なの?」

「ああ」
  
「そう、大丈夫なら
 それでいいの
 それでいい・・・
 スミレちゃんは、今回の件は
 知っているの?」

「・・・・・・」

「あなたが、言うわけ無いわね
 だけど、彼女に聞かれた時は
 ちゃんと話してあげなくちゃ
 ダメよ
 
 それに、彼女の安全も
 確保する必要があるわね」

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