飴色蝶 *Ⅱ*
庵は、朱莉の背中を軽く叩いた

「シュリ、みんなが見てる
 離れた方がいい」

朱莉は、庵を抱きしめる手を
放した後、涙を拭いながら
席を立ち裏へと入って行った。

深いため息を付く庵の元へ
要が戻って来た。
 
そして、彼は小声で伝える。

「会澤組若頭、ホソヤアラタが
 親父に会って話したい事が
 あると店の外で待っています
 
 武器は持っていませんでした
 が、どうしますか?
 お会いになられますか?」  

「一度、奴の顔を拝みたかった
 会って話を聞くが、ここでは
 目立ちすぎる、どこか辺りを
 気にせずに話せる場所へ
 移動しよう」

席を立つ庵の元へ、戻って来た
朱莉に、彼は言う。

「シュリ、ありがとう
 その気持ちだけ貰っとくわ
 じゃあな」

庵の心に住む、彼女には

到底、敵わない・・・
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