飴色蝶 *Ⅱ*
「伊納組を捲くし立て、抗争を
 勃発させて高月組を追い込み
 貴方を、高月組を手に入れる
 それが、会澤組長の思惑では
 ありますが
 貴方の組を自由にしよう
 自分のものにしようなどとは
 決して、組長は思っては
 おられません

 ただ、自分が組を率いている
 間に組の行く末を、しっかり
 と形にしたいだけなのです
 
 そして心から、高月組一代目
 のご子息である
 貴方を迎え入れたい
 ただ、それだけなのです」

庵は、鼻で笑う。

「結局、あの抗争の全ては
 会澤組、アンタらの仕業
 だったって訳だな
 まんまと踊らされた俺達を
 見て、さぞ、面白かった事
 だろう・・・・・・
 もう、これ以上、踊らされる
 訳には行かない」

「では、どうあっても
 会澤組とは
 契りを結ばないのですね?」

「抗争の発端でもある、会澤組
 と手を結ぶ程
 俺達は落ちぶれていない
 大事な仲間の血が流れた以上
 俺は、お前らを許さない」

庵の目つきが、鋭く尖る。

今にも、牙を剥き、喰らいつく
かのような怒りの表情に
新は一瞬、目を奪われ
怖い程に惹かれるのだった。


< 50 / 410 >

この作品をシェア

pagetop