飴色蝶 *Ⅱ*
覚悟していたはずなのに、いざ
言われてみると、思った以上に
この胸は締め付けられて苦しい

彼女の言葉が心に残り

俺を捕らえて放さない。
  
お前の、一番伝えたかった言葉

大切な言葉を、聞き流している
事にさえ

俺は、気づけない程に。

『好きよ、イオリ』

菫の予感は当たる・・・

菫と別れたあの日、庵は
シバの敵を討つ為に
伊納組本部事務所へと
出向いて行った。

事務所前、乗り着けた一台の車

ドアが開き、要をはじめ
高月組の組員達が降りる。

そして、一番最後に降り立った
 
その男こそ

高月組組長 高月 庵。

庵の姿に驚いた、伊納組の連中
は皆、慌てて銃を手に持ち

一斉に銃口を庵に向けた。

張り詰めた空気・・・
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