飴色蝶 *Ⅱ*
庵の腕枕に、こめかみを寄せ
甘える菫は、ふと、ある事を
思い出し体を起こした。
 
そして裸のままで横たわる彼の
右肩を見つめ、右腕に触れた。

「どうした?」

「ううん」

起き上がる庵の右腕、銃弾が
掠った傷痕を確認した後

今度はそっと、右肩の傷痕に
触れた。

「やっぱり
 傷痕が残ってるね」

「ああ、火傷みたいだろう?」

「もう、痛まないの?」

「ああ・・・・・・すみれ?」

菫は、庵の肩にある傷痕に
そっと優しく口づけた後

彼の肩に腕を回して抱きつき
震えた。

庵は、菫の背に腕を回し
きつく抱きしめ耳元で言う。
 
「ごめんな、怖いよな?」
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