飴色蝶 *Ⅱ*
ボソっと、窓の外を見つめ
そう呟く庵に、要は
言葉をかけた。

「親父、幸せにしてやるん
 じゃないですよ
 そりゃ男なら、その気持ちは
 とても大切ですが結婚という
 道は、二人で一緒に幸せに
 なるんです
 向き合って、歩幅を合わせて
 どんな苦悩が降り掛かっても
 それを、二人で乗り越えて
 一歩ずつを進んで行くんです
 
 幸せだなぁと感じる事は
 人それぞれ違います
 スミレさんの幸せは、親父
 あなたと一緒になること」

「すみれの幸せ・・・
 そうだな
 カナメ、ありがとう
 すみれと二人で過す部屋を
 探そうと思う
 これからも
 相談に乗ってくれ」

「任せてください」

庵は迷いを捨て、新しい一歩を
踏み出す事を決めた。

いつもの居酒屋で、仕事を
終えた菫が訪れるのを
お酒を飲みながら待っている
更紗と雪乃。

「私達、スミレに驚かされて
 ばかりだね」

グラスに、瓶ビールを注ぐ雪乃

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