飴色蝶 *Ⅱ*
引き金が、いつ引かれても
おかしくない状況下に

庵は、怯(ひる)む事も
無く立つ。

伊納組の組員の一人が、急いで
事務所内へ戻り、組長に伝えに
行く様子が見て取れた。
 
「親父、高月組組長が・・・」

「何?」

事務所の外、例を見ない光景に
伊納組二代目組長、伊納 透馬
(イノウトウマ)
は、驚くのだった。

庵のボディーガード(護衛)が
数人、彼を取り囲み
 
隣には、要の姿があるだけで
誰一人として武器を手に持つ者
はいなかった。

銃を構える組員達、緊迫した
空気が漂う。

透馬が、幹部の耳元で何かを
話すと、その男は、二人の組員
と共に庵達の傍へとやって来た

「武器を持っていないか
 調べさせてもらいます」

幹部の男は、庵の
ボディーチェックを行う。
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