飴色蝶 *Ⅱ*
嘘つき

嘘つき

私だって、本当は分かっていた

だけど、どうしても貴方の傍に
居たくて、私は我侭を言う。

今、庵が何を想い

何を感じているのか・・・
 
私は、何も知らずに、久しぶり
に訪れた居酒屋の穏やかな空気
に和みながら、更紗と雪乃と
お酒を飲んでいた。

でも、そんな中でも、私の心を
捉えて放さないのは、新さんの
あの瞳、あの言葉。

「聞いてる、スミレ?」

急の報告に、驚かされたと話す
二人をよそにぼーっとしている
菫、そんな彼女に、更紗が先に
声をかけた後、雪乃が続く。

「どうかしたの?
 仕事・・・それとも
 イオリさんの事?」

「ううん・・・何でもないよ」

更紗は、グラスを菫に渡した。 

「結婚の前祝、乾杯しよう
 おめでとう、スミレ」

「スミレ、おめでとう」

「サラ、ユキ、ありがとう」

菫は、二人の
祝福の言葉を受けて
 
幸せな気持ちで
胸がいっぱいになる。

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