飴色蝶 *Ⅱ*
「まあね、ミキちゃんは
 もう一緒に暮らしているし
 いつ結婚しても構わないって
 そう、言ってくれているんだ
 けれど

 私は今、やっとやりたい仕事
 を任されるようになって
 楽しくなってきたところ
 だから、正直、結婚は
 まだ先でいいかなって
 思っているの」

「ずっと、ユキがしたかった
 仕事だもんね」

「スミレは、仕事どうするの?
 せっかく、デザイナーとして
 認められて頑張っているのに
 辞めちゃうの?」

窓を開ける手を止める菫

夜風が車内に吹き抜ける。

強い風に

意志を持たされた

菫の長い髪が靡く。
< 88 / 410 >

この作品をシェア

pagetop