飴色蝶 *Ⅱ*
「いや、すみれが動揺すること
 は、できるだけ避けたい」

「しかし、もしもの時
 貴方だけでなく
 スミレさんも守れない」
 
「・・・そうだな
 後の事はお前に任せる
 
 すみれには、ちゃんと話して
 分かってもらうよ」

「はい、早く
 スミレさんのところへ」

庵が合鍵でドアを開けると
菫の姿は無い。

現実から逃避するように
泣き疲れた菫はソファーで
眠りに付いていた。

泣き腫らした横顔に
庵は、そっと触れた。

「イオリ、イオリ・・・」

目を覚ました菫は、子供のよう
に、庵に抱きつき離れない。

「お帰りなさい」
 
「ただいま」

庵は、菫の頬に優しく
右手を翳す。

すると、その手に彼女は甘える
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