飴色蝶 *Ⅱ*
「すみれ
 電話でも話したけれど
 当分逢わない方がいい
 
 俺と一緒にいれば
 必ずお前を巻き込む」

「私なら大丈夫だよ
 自分の身ぐらい自分で・・」
 
菫の両肩に両手を置いて
強く握り締めた庵は
彼女を見つめて伝える。

「無理だ、絶対に・・・」

庵の真剣な瞳を

菫は怖いと感じてしまう。

「痛いよ、イオリ
 
 そんなに怖い瞳で
 私を見ないで・・・
 
 不安で堪らなくなる」

そんなにも、危機が
迫っているの?
  
それなら尚更
 
貴方の傍を離れてなんか
いられない。

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