飴色蝶 *Ⅱ*
菫の細い肩を握る手を緩め

庵の左手は、彼女から離れ
 
右手は、首筋を通り頬に
そっと触れる。

そして優しい声で、庵は
菫に話して聞かせる。

「すみれ何も心配しなくていい
 俺の周りには、いつも護衛の
 者達がいて、俺は彼らに
 守られている
 
 今度の相手はそんじょ其処ら
 の半端なヤクザとは違う
 何年も、この極道の世界で
 生きてきた男だ
 
 堅気だとかそんな事、奴には
 一切関係なく
 俺を潰す為に使えるものは
 何でも利用するだろう
 
 今後、お前にまで、危険が
 及ぶかもしれない
 すみれ、お前を巻き込みたく
 ないんだ、だから、頼む
 俺の言う事を聞いてくれ」

庵は、きつく菫を抱きしめた。

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