~秘メゴト~
「―…お腹、空かない?」
不意に、隣を歩く先輩が口を開いた。
「えっ?」
「腹減ったんだけど、おまえは?」
「あ…まあまあ、です」
今日は土曜日なので、午後の部活の為にサンドイッチを一切れ食べただけだった。
「なんか食べて帰る? …思い掛けず激しい運動しちゃったから、帰って作るの面倒くせぇ」
有は悪戯っぽくニヤっと笑って、姫乃を見下ろした。
その含み笑いの意味することを思いやって、彼女は瞬時に赤面する。
「やっ…やだ、もう」
「食べたいものある?」
そう問われても、正直なところ空腹感はあってもこんなときに食欲などある筈もないのが、乙女心だ。
「あの…特別は…」
「そう?」
有はちょっと上を向いて考える。
うっ こんな何気ない仕種でもかっこいいんだ、先輩ってば。
姫乃が有に見惚れていると、彼はくるっと向き直り、云った。
「うち来る? 何か作ってよ」
有は、長い前髪の下から姫乃を覗き込んで、ちょっと首を傾げて云った。
.
不意に、隣を歩く先輩が口を開いた。
「えっ?」
「腹減ったんだけど、おまえは?」
「あ…まあまあ、です」
今日は土曜日なので、午後の部活の為にサンドイッチを一切れ食べただけだった。
「なんか食べて帰る? …思い掛けず激しい運動しちゃったから、帰って作るの面倒くせぇ」
有は悪戯っぽくニヤっと笑って、姫乃を見下ろした。
その含み笑いの意味することを思いやって、彼女は瞬時に赤面する。
「やっ…やだ、もう」
「食べたいものある?」
そう問われても、正直なところ空腹感はあってもこんなときに食欲などある筈もないのが、乙女心だ。
「あの…特別は…」
「そう?」
有はちょっと上を向いて考える。
うっ こんな何気ない仕種でもかっこいいんだ、先輩ってば。
姫乃が有に見惚れていると、彼はくるっと向き直り、云った。
「うち来る? 何か作ってよ」
有は、長い前髪の下から姫乃を覗き込んで、ちょっと首を傾げて云った。
.