~秘メゴト~
 買い物籠を提げて、先輩とふたりでスーパーを物色する。

 …同棲カップルか、本当の恋人同士みたい…。

 嬉しくて嬉しくて、顔がつい綻んでしまう。

 こんな幸せな日がくるなんて、一目見ることすら叶わなかった中学の二年間からすると、まるで夢のようで。

 一生懸命気張っていないと涙腺が緩んじゃう。

 先輩は、そんな私のキモチ、きっと解っていないよね。

 私がどんなに、貴方が好きか。

 何気なく目が合ったときに、ん?ってちょっと笑ってくれる、この嬉しさ。

 品物を渡すときに触れ合う指先の、ときめき。


 身体を合わせているときよりも、ずっとどきどきしてる。


 擦れ違う主婦や女の子たちは、みんな振り返って先輩に見惚れてる。

 何だか、彼女でもないのに誇らしいんだ。


 ねえねえ、素敵でしょ?って。


 ―…私の好きなひとなのよ。

 …ってね。




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