~秘メゴト~
 どうして、俺は姫乃に触れたくなるんだろう。

 何故、こう何度も抱きたくなるのか。



 姫乃がちいさな手で俺の指を握り締める。

 俺の腕のなかの華奢な身体より、その手は熱く、姫乃の想いが込められているように感じた。


 彼女は、こんな俺を嫌悪してはいないのだろうか。

 ちいさな手を、握り返してみた。

 俺の指先に、微かに震える柔らかな口唇が触れた。


 堪らず、俺は姫乃の身体を引き寄せ掻き抱く。

 強く抱きしめ、甘い香りのする髪に顔を埋めた。


 奥底から込み上げる想いが、胸をじりじりと焦がしていく。

 初めて味わうその感覚に、大きく深く喘ぐように息をついた。



 愛しい。


 離したくない。


 俺だけのものにしたい。


 生まれて初めて自覚した烈しい恋情と独占欲に心も身体も支配され、眩暈をおぼえながら、俺は姫乃の首筋に口唇を押し当てた。



 つよく、強く。



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