~秘メゴト~
「…そんなに睨まれたら食えないんですけど」
「えっ」
スプーンを口へ運ぶ手を止め、先輩が私を諌める。
はっと気付くと、私はかなりの前傾姿勢で先輩の口元を凝視していた。
「ごっごめんなさい。どーぞっ食べてくださいっ」
「…いただきます」
今度こそ、先輩はスプーンを口へと運ぶ。
私の作ったオムライスが彼のおくちのなかに…どきどきどき。
「え…凄く美味いかも」
「ほんと!?」
「うん…正直びっくりした。姫乃、ほんとに料理出来たんだな。鈍臭くてなんにも出来なさそうなのに」
「ええ〜っ! 作らせておきながらそれはないですよっ」
「いや俺、自分で作ってと頼んだはいいけど、どんなものが出てくるかちょっと怯えてたんだよね」
「ひっひどい」
先輩は笑いながらオムライスを口へ運ぶ。
…よかった、おくちに合って。
なんだかまたとっても幸せを感じる。
今日は朝から放課後まで、ずっと悲壮な気分で過ごしてきたというのに、それがまるで嘘のよう。
根本的なことは解決もしていなければ、私は先輩への想いを打ち明けてもいないし、彼との関係も変わっていないというのに、何故かふたりの距離が近付いたように思える。
例えば、今までお互いに触れ合わないようにヴェール越しに接していたのが、今日になって突然生身で握手しちゃったような?
すごくモテる先輩相手に、こんなことを考えちゃうなんて恐れ多いかな?
.
「えっ」
スプーンを口へ運ぶ手を止め、先輩が私を諌める。
はっと気付くと、私はかなりの前傾姿勢で先輩の口元を凝視していた。
「ごっごめんなさい。どーぞっ食べてくださいっ」
「…いただきます」
今度こそ、先輩はスプーンを口へと運ぶ。
私の作ったオムライスが彼のおくちのなかに…どきどきどき。
「え…凄く美味いかも」
「ほんと!?」
「うん…正直びっくりした。姫乃、ほんとに料理出来たんだな。鈍臭くてなんにも出来なさそうなのに」
「ええ〜っ! 作らせておきながらそれはないですよっ」
「いや俺、自分で作ってと頼んだはいいけど、どんなものが出てくるかちょっと怯えてたんだよね」
「ひっひどい」
先輩は笑いながらオムライスを口へ運ぶ。
…よかった、おくちに合って。
なんだかまたとっても幸せを感じる。
今日は朝から放課後まで、ずっと悲壮な気分で過ごしてきたというのに、それがまるで嘘のよう。
根本的なことは解決もしていなければ、私は先輩への想いを打ち明けてもいないし、彼との関係も変わっていないというのに、何故かふたりの距離が近付いたように思える。
例えば、今までお互いに触れ合わないようにヴェール越しに接していたのが、今日になって突然生身で握手しちゃったような?
すごくモテる先輩相手に、こんなことを考えちゃうなんて恐れ多いかな?
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