~秘メゴト~
 お誕生日。


 レンアイに於いて、お誕生日って重要だよね。

 片思いでも、両想いでも。

 私も、頑張ってお誕生日プレゼントあげて、私の存在くらいは知って貰おうと思ったの。

 プレゼントも用意した。先輩の好きだという噂のブランドの黒のカットソー。

 ―…無難過ぎ? だって、何枚あってもいいじゃない?

 先輩は身長が175cmもあるらしいから、Lサイズを選んだ。

 ラッピングも、ボルドーとエクリュのオーガンジーを幾重にも重ねて、ゴールドのリボンで飾り、メッセージも書いた。何度も何度も書き直して。


 ―――でも、渡せなかったの。


 お誕生日、休み時間の度に勇気を出して4階に行ったけど。

 先輩の周りにはいつも何人もの女の子がいて、近寄ることも出来なかった。

 靴箱もいっぱい。

 その日はサッカー部の練習はお休みで、うちのクラスのHRが終わった頃には先輩は既に帰ってしまっていた…。

 結局、当日には渡せず、翌日にはすっかり勇気もくじけていた。

 今となっては、もっと強引に…せめて靴箱に捩込んでおけば良かったと、後悔してるの。


 だからこそ。

 絶対、明後日のバレンタインは頑張るの!!

 …明後日は、日曜日だから。

 やっぱり、明日渡すべき?

 今夜は、徹夜でチョコ作るぞお!

 …でも、見知らぬ下級生から手作りチョコって、メイワクなだけじゃない?

 しかも、甘いものが苦手らしいし。


 ―――恋って、頭が疲れるものなのね。

  



.
< 15 / 169 >

この作品をシェア

pagetop