~秘メゴト~
 外に出ると雨はもうすっかり止んでいて、代わりに月明かりが仄かに一帯を照らしていた。


 ふたりは微妙な距離を置いて、並んで歩いた。

 会話を交わすことはなかった。


 月明に照らされる有の冷たく無表情な横顔を、やっぱり綺麗だ、と姫乃は思った。




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