~秘メゴト~
 玄関で靴を脱ごうとする姫乃に、馨が静かに口を開く。


「…何か、あったのか?」

「えっ…な、なんで!?」


 父の問い掛けにどきっとする娘。


「いや…おまえも彼も、悲しそうな顔をしているよ」

「…そうかな? 疲れたし、おなかぺこぺこなの! だからじゃない!?」

「そっか。ならいいんだ。じゃ一緒にごはん食べよう」

「うん! じゃ私 先に着替えてくるね」


 そう言って、姫乃は勢いよく自室への階段を駆け上がって行った。



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