~秘メゴト~

新たなカンケイ

 部活。

 …出たくないなぁ…。


 翌日の放課後、姫乃は教室の自分の席で寝たふりをしていた。



 私が部活に行かなかったところで、何の支障もないよね。今までマネージャーいなかった部なんだし。

 だって、どんな顔をして先輩に会えばいいの?

 下半身には未だ違和感が、ある。

 身体もあちこちが軋むし、だるい。

 ―…ただ、ひとつ気懸かりなことがある。

 ボタンが、見付からないの。

 朝から、休み時間の度に格技場に行っては探している。でも、見付からない。

 瑠璃も一緒に探してくれたのに…。

 これだけ探してもないということは、誰かに拾われたのかも知れない。

 だから、事務室に拾得物届けも出してきた。

 …捨てられていたら終わりだけど。

 あんなことがあっても、必死にボタンを探している自分が、我ながらオカシイかな?と思う。

 瑠璃にも、昨夜の格技場での出来事は未だ話せていない。

 話したらきっと、心配するもの。

 同じ格技場での部活だから、瑠璃なら多分私を気にして稽古に集中出来ないかも知れないし。

 格技場。まだ、怖い。




 …今日だけ、やっぱりサボろ。

 気晴らしに、久々に寄り道して買い物なんかしちゃおっかな。

 可愛い雑貨屋さんでも覗けば、この鬱々した気持ちも少しは浮上するに違いない。

 そうだ、そうしよう!



 意を決して、鞄を掴んで立ち上がった。


 その時。

 人気のまばらな教室が、ざわめいた。



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