～秘メゴト～

「ゆ〜うっ！」

　昼休み、教室で本を開いていた有に、前触れもなく後ろから抱き着いて来た者がいた。

　振り向くと、級友の亀田だった。


「なんだよ、いきなり」


　読書を邪魔された有は、些か不機嫌である。


「ねえ、おまえさあ。１年の姫乃ちゃんとほんとに付き合ってんの？」


　亀田は少し小柄な身体に似合わず、鋭い顔付きをしている。

　そんな亀田が上目使いで有を見据える。

　しかし、その視線を真っ直ぐに見詰めながら、有はぴくりとも表情を変えず、考えを巡らせていた。



　姫乃と、付き合っているのか？



　いつもの鉄面皮の下で、彼は内心動揺していた。



　
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