~秘メゴト~
 先輩と離れる決心をした。

 なんでもない日常なのに、それだけで何処か落ち着かない。

 授業も上の空。

 ううん、正確にいうと違うかな。

 目は真剣に先生や黒板を追い、ペンを握る手はノートの上を滑ってはいるんだけれど、それはロボットのようになってしまった私にプログラミングされていて、本当の私は傍らでその作業を虚ろに眺めているだけだった。


 いつもなら楽しみな筈のお弁当も、悪戯にお箸でつつくだけ。

 そんななかでも、鼓動は耳元でとくとく鳴り響き、手には嫌な汗が滲む。


 そんな昼休み、私はいてもたってもいられずに、格技場の掃き掃除にいくことにした。




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