~秘メゴト~
 ――…上領先輩がキス、していた……。


 恐らく、松本さんと。


 ――なんてこと。

 私はやっぱり邪魔者だったんじゃない!

 松本さんと、先輩の邪魔をしていたんだ。

 『責任』という足枷で先輩を繋ぎ止め、恋人同士の邪魔をしていたのよ。


 涙がとめどなく零れる。

 ぼやける視界を必死で、校舎へと続く渡り廊下を走っていった。


「――姫乃!?」


 そのとき、格技場に向かう瑠璃が現れた。

「姫乃、どうしたの!?」

 どうみても尋常じゃない姫乃の取り乱し方に驚き、瑠璃が泣きじゃくる彼女に駆け寄る。

 
「―…るり…私、もうダメ…」


 姫乃は震える手で馴染みにしがみついた。




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