翡翠の悪魔~クライシス・ゾーン~
ちょうどティリスが着替え終えたころ、また何かを察知した。
少年が逃げていった方角から、複数の気配。周辺の空気がピリピリと肌に伝わる。
嫌な予感。
「リュート?」
かたわらにある険しい表情に、ティリスもようやく警戒し始める。あわただしい人の声と足音が耳に届いた。
「いた! あそこだ!!」
「悪魔がいたぞ!」
「どこだ!?」
やはり勘違いされている。リュートは口の端を苦々しく吊り上げる。
「え、えっ? どういうこと!?」
「退(ひ)くぞ、ティリス!」
人がいない道へ走り出した。急いでついていくティリス。複数の人間が追いかけてくる。
「待って、リュート! ちゃんと説明したら……」
「黙って走れ!」
ピシャリと制した。
森を疾走しながら思考をめぐらせる。
殺気立っている人間に言葉が通じるはずがない。数人ならまだしも足音の数はかなり多い。
短い時間でこれだけの人を呼ぶのは物理的に不可能だ。初めから森を探索していたと考えられる。
少年が逃げていった方角から、複数の気配。周辺の空気がピリピリと肌に伝わる。
嫌な予感。
「リュート?」
かたわらにある険しい表情に、ティリスもようやく警戒し始める。あわただしい人の声と足音が耳に届いた。
「いた! あそこだ!!」
「悪魔がいたぞ!」
「どこだ!?」
やはり勘違いされている。リュートは口の端を苦々しく吊り上げる。
「え、えっ? どういうこと!?」
「退(ひ)くぞ、ティリス!」
人がいない道へ走り出した。急いでついていくティリス。複数の人間が追いかけてくる。
「待って、リュート! ちゃんと説明したら……」
「黙って走れ!」
ピシャリと制した。
森を疾走しながら思考をめぐらせる。
殺気立っている人間に言葉が通じるはずがない。数人ならまだしも足音の数はかなり多い。
短い時間でこれだけの人を呼ぶのは物理的に不可能だ。初めから森を探索していたと考えられる。